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監督:行定 勲 ISAO YUKISADA

1968年生まれ、熊本県出身。2000年『ひまわり』が、第5回釜山国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞し、演出力のある新鋭として期待を集め、01年の『GO』で第25回日本アカデミー賞最優秀監督賞を始め数々の映画賞を総なめにし一躍脚光を浴びる。04年『世界の中心で、愛をさけぶ』は興行収入85億円の大ヒットを記録し社会現象となった。以降、『北の零年』(05)、『春の雪』(05)、『クローズド・ノート』(07)、『今度は愛妻家』(10)、『パレード』(10/第60回ベルリン国際映画祭パノラマ部門・国際批評家連盟賞受賞)、『円卓~こっこ、ひと夏のイマジン~』(14) 、日中合同作品『真夜中の五分前』(14)、16年は『ピンクとグレー』、故郷・熊本を舞台に撮影した『うつくしいひと』、日活ロマンポルノリブート『ジムノペディに乱れる』、東京国際映画祭のプロジェクトアジア三面鏡の『鳩Pigeon』など、精力的に作品を製作しつづけている。17年は震災後の熊本で撮影を敢行した『うつくしいひと サバ?』を発表。また、「趣味の部屋」(13・15)、「ブエノスアイレス午前零時」(14)、「タンゴ・冬の終わりに」(15)などの舞台演出も手掛け、その功績が認められ16年、毎日芸術賞 演劇部門寄託賞の第18回千田是也賞を受賞した。映画公開待機作は、岡崎京子原作の『リバーズ・エッジ』(2018年公開予定)。

Q.『ナラタージュ』の映画化について

必ずしもきれいごとではないものが描かれるのが恋愛映画だと思っています。原作者の島本理生さんは、まだ若いけれど、女性作家のなかで恋愛ものの巨匠になっていて、性愛を含めて正直に恋愛を書き続けている人です。彼女が20歳のときに書いたこの「ナラタージュ」は、無意識のなかで欲望を露呈していく少女、その少女の女性性を芽吹かせる大人の男性の恋愛が描かれた魔性的な小説。映画化することは覚悟が必要でしたが、とても面白いと思いました。

Q.松本潤さんと有村架純さんについて

漫画原作の映画化のように目に見えるヒントがあるわけでもなく、つかみどころのないキャラクターを自分で造型していかなくてはならなかったので、葉山も泉も演じるのはとても難しかったと思います。僕から特にああしろ、こうしろ、とは言わなかったですが、クランクイン前に、たとえ自分自身と役柄がシンクロしなくても役を通じて何かを感じられるといいよねという話や、恋愛のなかにある欲望や息苦しさ、はっきりしないものについての話はしました。

Q.この映画で描かれている恋愛について

好きになるほど疑惑は生まれ、欲望は先回りし、相手のためを思ってやったこともズレてしまい、ぐちゃぐちゃになってしまう、それが本当の恋愛だと思っています。他人の恋愛は引いてみると滑稽ですが、グッと寄って入り込むとドラマチックに見えてくる。もちろん、この映画は入り込んで撮っています。観る側の恋愛偏差値が試されるだろうし、「こんなことだったら恋愛なんてしなきゃよかった」と、いい意味で観た若い人たちがトラウマになるような傷をつけられればなと思いました。

Q.タイトルとこの映画のメッセージについて

最後に全体を少しだけ垣間見せることで、泉の未来を想像させています。タイトルの「ナラタージュ」はナレーション+モンタージュ、誰かに向けて語っているのではなく、泉の自問自答で語っている。普通なら最後にナレーションで終わると思いますが、敢えてそうしないことを選びました。宮沢のキャラクターを未来に見る人もいれば、背中を押してくれた天使的な存在として見る人もいる。映画館のあの暗闇のなかで、いろいろ感じてほしいです。

脚本:堀泉 杏

2014年公開の上海を舞台にした日中合作映画『真夜中の五分前』の脚本を担当。越境する男女の繊細で複雑な恋愛描写で評価を得る。その後も、くまもと映画『うつくしいひと』(16)とその続編『うつくしいひと サバ?』(17)、また日活ロマンポルノリブート『ジムノペディに乱れる』(16)と行定組に参加。本作『ナラタージュ』でもその才能を遺憾なく発揮している。他にもブランデッドムービーやゲームなど多岐に渡って活躍している。

音楽:めいなCo

熊谷陽子と浦山秀彦による音楽創作ユニット。1986年、林海象監督の『夢みるように眠りたい』でチームを結成。以降、作曲編曲をはじめ、CMから映画音楽まで幅広く活動する。数多くの行定勲監督作品を手がけるなか、『GO』(01)、『世界の中心で、愛をさけぶ』(04)、『今度は愛妻家』(10)では日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞。